2002年6月21日
F ボランティア考
   私の高校時代の剣道部の友人の話をします。

 彼は埼玉県に勤めていたのですが、昨年3月で退職し「知的障害者」のための下宿を開設しました。文字通り退職金と全財産を投入して自宅の横にもう一軒家を建てて始めたのです。彼が言うには「停年まで待ったら自分の体力が残らない。今なら、県の福祉関係とのつながりもある。今しか決断の時は無い」とのことでした。

 私も、開設祝いに一度出掛けたのですが、まー、大(だい)大変なことでした。6人の入居者がいましたが、その人たちに、彼自身が、5時ころ起きて朝食を作って食べさせ、仕事を見つけてやり、仕事場まで送り迎えし、着ていくものの面倒を見、しかも、私のような異な者が訪れたので、一人どこかへ行ってしまって捜しに行ったり、等々々。

 彼は、最初(20代のころ)は、養護学校に勤めていました。その当時に彼のところに
行って見た事は、そこの子供たちの中で彼が”ガキ大将”(良い意味で)のように溶け込んでやっていました。私の感覚はどちらかといえば「この子達にやさしくする事が人間として正しい事だ」のような頭(考え)デッカチから考えていました。彼は私のような理屈無しで、生のままの自分そのものでこの仕事をやりきっていました。

 今の下宿にしても、彼にとっては、なんら自慢ではないし、まして、金儲けにもなりません。彼は、県の福祉関係の仕事をしていて、成人した「知的障害者」の受け皿が無いことを痛感し、自分がそれを作ろうと決めたのです。

 あえて、人のことですが、言わせてもらえば、これが彼の生き様であり、彼の人生の満足のためとしか言いようがありません。

 きっと、最後の時、彼の上には、「蜘蛛の糸」が降りて来るでしょう。
 そして、彼は、その時でも「みんな、つかまれるだけ つかまれ!」と言うにちがいありません。

 がんばれ!T君!

 




 

 

 
戻る
次へ
お多福屋
inserted by FC2 system