鎌仲ひとみ監督と語る会200823日 於 飯田市鼎公民館)

1.「六ヶ所村ラプソディ」の映画を作るに至った経緯

1) 大学時代は探検部に所属していた。そのときは 写真と文章で表現できると考えていた。ある時 彼氏から 映画の撮影の手伝いに誘われた。そこで恋愛もののような動画を作っていたのだけれど それを体験して 映画というものが 物を伝えるのに有効であることを知り、取り組むようになった。

 

2)NHKに勤めていた時代に1998年から2002年ころまでイラクの取材をして『被爆者』という映画を作った。

当時のイラクは 湾岸戦争の以後でアメリカなどによる「経済制裁」を受けていた。

湾岸戦争以前に 日本の力でイラクには立派な病院が多数作られていた。しかもフセイン政権の独裁下ではあったが、子供の医療費 教育費は全て無料となっていた。 ところが 「経済制裁」によって ガンの薬が全て「大量破壊兵器の製造につながる」として輸入禁止 とされ、闇の値段で取引されるようになった。ひとつの薬を買うのに家一軒処分するほどの値段が付けられた。親はそれでも 財産を処分して薬を買った。でも薬は2年間飲み続けなくてはならず、それが出来ないで 子供は亡くなり、親も破産状態に追い込まれることとなった。 「経済制裁」はフセイン独裁政権に打撃なのではなく 『弱い者を殺す』ものでした。 こうして 1998年に亡くなった子供は60万人、2003年には100万人に達している。イラクの人口が2400万人ですから すごい数の子供が犠牲になっていることになる。

 

アメリカ軍は『劣化ウラン弾』を湾岸戦争時に300トン(今回のイラク戦争では2000トン)を使用した。

 

アメリカの見解は 少しの放射能だから何の問題も無い としている。

 

実際に 『戦車の墓場』と称される場所を見学したが 通常レベルを超える放射線を発していることが計測計器でわかった。また その地区のバサラ産婦人科病院に行くと コンテナ一杯の写真があり その写真は 放射線被害と思われる異常児の写真の山だった。

 

こうした映像を日本に持ち帰ったが NHK側の反応は「こんな反米的なものを流すわけにはいかない」というものだった。それで 米側の意見を反映させたものをテレビで流したが「なんの反響も無かった」。

 

⇒ ここでひとつの壁に突き当たった。

 

それはプロパガンダの壁、つまり「少しの放射線なら安全」というアメリカやメディアの宣伝の壁に 突き当たった。

 

(外部被爆)

劣化ウラン弾はその放射線の長さが 4050μ(ミクロン)だそうです。それで 身体の外側からの被爆に対してはそれほど強力なものでは無い と言えます。

(内部被爆)

ところが 劣化ウラン弾は 爆発して微粒子となって(タバコの煙よりも細かい微粒子)大気中に飛び散るそうです。そのため その空気を吸うことにより体内に取り込まれます。

そうすると 先ほどの短い長さの放射線でも細胞を3つほどは突き通す長さになります。かくして 細胞変位が発生し、がんや白血病の原因となり、胎児では「奇形児」として成長してしまうことになります。

 

(3)       アメリカにいるときに 素人集団で映画を作るグループができ、そこで 自由な精神で映画を作る体験をした。

アメリカは 原爆を発明して以来 500回にも及ぶ大気圏内核実験を行って来た。しかし その影響(被害)は膨大な人に癌や白血病をもたらた。だけどこれは「完全犯罪」。すなわち体内被曝を測る技術が無いした、被害は時間差をもって現れるので 直接的な因果関係を証明もできない。

 

さらに アメリカのファンフォードの世界初の再処理工場は広島・長崎原発の濃縮ウランを作ったところですが、その操業時に脇を流れるコロンビア川に1億ガロンに及ぶ放射性物質を捨てまくった。その対岸に住む1マイル四方の地域に住む住民にあっては 女性の全員が流産を経験していて、56歳の男性はその同級生の半数が死亡したという被害を受けていました。1987年に機密書類の解除がありその書類を丹念に調べたら 核廃棄物を風船に詰めて風で流した などということも判明した。それでこの青年が訴訟を起こしたのですが、その地区のものからは「黙っていろ、知れ渡ったらここで採れる農作物が日本に売れなくなってしまう。黙っていれば良い。」などと言われたけど頑張って裁判をしました。でも結局、裁判も負けて何の補償も受けられなかったそうです。

 

結論としては、「少しの放射能は安全」は誤りで、『0(ゼロ)以外は安全では無い』ということに考えが辿り着いた。

 

2.劣化ウラン弾=原発のゴミ=「私の出したゴミ」

 

<核のサイクル> 原発で1トンのウランを燃やすために必要な量

1) ウラン鉱の採掘 13万トンのウラン鉱石の採掘+ 250240)万トンの残土

〔(精錬)天然ウラン 190トン + 坑滓 13万トン(低レベル廃物)〕

2) ウランの濃縮 ウラン23530トン + ウラン238160トン(低レベル廃物)を分離する。ウラン238は原発では使えないので ゴミとなっていた。これが劣化ウラン。日本の原発の燃料ウランはほとんどがアメリカで濃縮されたもの。だから、アメリカの使う劣化ウラン弾は私たち日本人の原発のゴミ。アメリカの兵器産業に1トン100ドルで売られている。

3) 原子炉 使用済み燃料:30トン + 低レベル廃物 ドラム缶1000本 

4) 再処理工場 プルとニューム:300kg + 高レベル廃物:固体化30本。低レベル廃物・中レベル廃物:

 

<劣化ウラン弾についての締め>

劣化ウラン弾=原発のゴミ=「私の出したゴミ」ということに気がついた。

出口:劣化ウラン弾を使わせない

入り口:ウラン238を出してはいけない。

 

3. 六ヶ所村への関わり

 当時から 全体をテーマとしたものは無かった。

メディアも断片情報(ピース)のみ報道するだけだった。

上記(2.)の思いから フリーの立場で ここの記録を撮りはじめた。

 

テレビ朝日が ニュースステーション(久米宏のとき)「核燃料再処理を問う」というテーマで三回シリーズを企画し、第一回を流したら、その日のうちに東京電力が局に圧力をかけ 「二回以降報道したら全ての番組から降りる」と迫ったので 二回目以降は報道されなかった。

 

結果として NHKでは視聴率数%でも全国では600万人が見ている とされたけど なんお反響も無かったことに比べ 「六ヶ所村ラプソディー」では 全国350箇所での自主上映 と 映画館での上映も含めて 口コミで大きな反響を呼ぶことが出来ている。

 

<電力料金>

「なぜ原発の経費が安いとしているのか」という公開質問状を出したが、回答書は2ページ以降が全て黒く塗り潰されているものが出された。

国からエネルギー開発費として 年に5500億円が44年間にわたって支出されている。

原発の建設費は一基当り約4000億円で全国で55基建設されている。つまり 原発の建設資金は国から全額出ているようなものである。

 

ところが 法律で 建設費の3.8%を利益(設備投資)として上乗せしても良い とされている。

 

<六ヶ所村の現状>

行政としては 足が抜けない状態

住民にとっては 民主主義が成立しえない。=選択肢が無い。

 

問われているのは民主主義

知る権利

 

現在「六ヶ所村 その後」を制作中。

 

<避難訓練>再処理工場で事故を想定した訓練が開催された。

取材申し込みを断られる⇒ 川田龍平氏に仲介を依頼し実現。

(核施設の事故)

臨界事故:30km四方に中性子が拡散 外部被爆の危険。中性子の強さは距離の二乗の反比例するので できるだけ遠くに逃げることが必要。

 

チェルノブイリ型事故:爆発して放射能がガスとなって大気中に拡散する。内部被爆の危険。屋内に逃げ込み 窓などの隙間をテープを貼り 外気に触れないようにする。

 

避難訓練の様子は茶番である。

再処理工場の隣の建物に非難本部が設置され、また住民の避難場所は工場に隣接する体育館だった。つまり 緊急本部が被爆する位置に置かれ、工場から遠くにいる住民もわざわざ近くの危険なゾーンに入り込むかたち。

 

万一 事故現場で被爆した者を救い出す方法など無い。防護服などは存在しない。

 

質問に答えて

<災害マニュアル>

かなり広範囲に即死状態

安全圏の人がどえだけ被爆をさけられるかしかない。

 

<廃液>

すでに流されている。

放射性物質が2日に一回 600トン

一年間で 47000人分の致死量に相当する。

住民の意志を届ける道筋は無い。

税金を使って環境を破壊する。

事実を知らされていない。

78万人の署名。 そのまま倉庫へ。

 

<環境への影響>

フランス 鮭に977ベクレルが溜まっていた。

基準値 日本:370、フランス:600、イギリス:1250

イギリスは汚染が進んでいるのでこの程度にしないと食べるものがなくなるから大きな数字。

 

<参考文献>

「ロッカショ」 講談社 坂本竜一 スギゾー

「美浜の会」HP

stop Rokkasho..JP

「たあくらたあ」

 

<自然エネルギーはどうか?>

まず一番は 省エネ 

今ある電気を何で作るのか では無い。

BP(ブリティッシュ石油)⇒BP(脱石油)

日本の電力消費状況:夏の一週間(甲子園高校野球)の時がピーク電力消費量を迎える。このピークの2割増しで一年の発電量を決めている。

ドイツは こうした最高消費の時の電気代を上げた。 

 

石油の寿命は45年、ウランの寿命は75年⇒持続可能性あるエネルギー計画が不可欠。

 環境教育が必要:大量生産大量消費の意識的転換が必要。

 

「エンデの円盤」:経済そのものが環境破壊をしている。いつか手ひどいしっぺ返しを受ける。

原発は温暖化対策とはならない。地球温暖化の危機は今後10年が勝負となっている。原発で有効なCO2削減を図ろうとした場合、今後十年で140基建設しなければならない。原発に排水による海水温度の上昇が計算に入れられていない。

 

<市民運動>

坂本竜一 「アーティスト パワー」 エコが共産党の話しではなく 市民の間に定着してきた。

川田龍平氏のような議員を送り出すこと。

シカゴ大

政治は本来 民衆の意志を実現するための輝かしいツール。

政治についてあらかじめ 手垢のついたものとして扱ってはならない。

⇒ 自分たちの参加できる政治を地域から実現していくこと。

 

<雇用の問題>

核施設に雇用を選んだ人を責めない

共に歩む気持ち

 

誰が一番得をするのか という観点から考える。

 

<民主主義の第一歩>

地域の中で顔の見える関係を構築すること。

情報の伝達が大事。

 

<六ヶ所 止められるか?>

止めたいという意識を継続すること。活動を継続する。

事故などがあったときに 力になる。

 

<何ができるか?>

日本原燃 に電話する。「本格稼動はいつですか?」と聞く。

新聞社に「特集記事にしてくれ」と電話する など。

 

「六ヶ所村 明日の森」森を作る運動を始めている。

 

 

以上 メモできた部分だけ抜書きいたしました。(平田雅則)

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